きくらげの菌床栽培では、温度や湿度、換気など、栽培環境をどのようにつくり、管理するかが重要になります。
一方で、夏の猛暑や冬の寒さなど、屋外の気象条件は栽培環境に影響します。
こうした外部環境の影響を抑えながら、栽培に必要な環境を整える方法の一つが、コンテナを活用したきくらげ栽培です。
これまで、農業用コンテナの活用方法と、長野県・てしお農園様の20ftきくらげ栽培用コンテナ導入事例をご紹介しました。
今回はきくらげ栽培にテーマを絞り、コンテナが活用される理由、必要な設備、導入前に確認したいポイントを解説します。
きくらげ栽培で重要になる「栽培環境」
きくらげをはじめとする菌床栽培では、栽培する空間の温度や湿度、換気などを考える必要があります。
屋外や一般的な建物では、季節や天候によって室内環境も影響を受けます。
そこで、栽培する空間そのものを一定の範囲で管理しやすくするという考え方があります。
重要なのは、単に「室内で栽培する」ことではありません。
栽培方法に合わせて、必要な環境をつくること。
そのための専用の栽培空間として、コンテナを活用する方法があります。
なぜ、きくらげ栽培にコンテナを使うのか
コンテナを栽培施設として利用するメリットの一つは、独立した栽培空間をつくれることです。
特に農業用途では、断熱性や気密性を備えたリーファーコンテナを活用する方法があります。
リーファーコンテナは、もともと温度管理が必要な食品などを輸送するために使われているコンテナです。
その特徴を生かしながら、栽培方法に合わせて空調、換気、照明、電源、棚、散水設備などを組み込むことで、きくらげの栽培施設として活用できます。
きくらげ栽培用コンテナには、どんな設備が必要?
必要な設備は、栽培方法や規模、設置する地域・場所などによって異なります。
一例として、次のような設備が考えられます。
空調設備
コンテナ内部の温度を管理するための設備です。
必要な空調能力は、設定したい温度だけではなく、コンテナの大きさや設置地域、季節、栽培条件などによって変わります。
換気設備
栽培環境に合わせて内部の空気を入れ替えるため、換気設備を設けます。
空調だけではなく、栽培条件に応じた換気を含めて考えることが重要です。
照明・電源
コンテナ内部で作業するための照明や、空調・換気など各種設備を使用するための電源を設けます。
栽培棚
菌床を配置するための棚を設置することで、コンテナ内部の空間を利用した栽培環境をつくることができます。
棚の配置や寸法についても、作業動線や栽培方法に合わせて検討します。
散水・湿度管理設備
きくらげの栽培方法や日々の運用に合わせて、自動散水設備などを検討します。必要な散水量や設備の配置は、菌床の並べ方や給排水条件などによって異なります。
このほかにも、栽培方法や作業の流れ、設置環境に応じて必要な設備を検討します。
リーファーコンテナを栽培施設として活用する
きくらげ栽培用コンテナでは、リーファーコンテナをベースとして活用する方法があります。
リーファーコンテナには床・壁・天井に断熱構造があり、農業用途の「箱」として活用できることが特徴です。
ただし、もともと輸送に使われていたコンテナを、そのまま置けば栽培施設になるわけではありません。
栽培する作物や方法に合わせて、
- 空調はどうするのか。
- どの程度の換気が必要なのか。
- 散水は手作業か、自動化するのか。
- 菌床をどのように配置するのか。
- 作業する人が動きやすい配置になっているか。
などを検討し、必要な設備を組み込むことが重要です。
中古リーファーコンテナについても、状態や必要な仕様を確認したうえで、農業用途へ活用できる場合があります。
20ft中古コンテナを活用|長野県・てしお農園様の導入事例
長野県のてしお農園様へ、20ftの中古きくらげ栽培用コンテナ1台を納品しました。
てしお農園様では、これまで自宅の倉庫を活用してきくらげを栽培されていました。季節や外気温の影響を受けにくく、温度を管理できる専用の栽培環境を整えるため、コンテナを導入いただきました。
コンテナ内部には空調・換気・照明・菌床棚・自動散水設備を設け、両側に菌床を配置しながら中央に作業通路を確保しています。20ftの限られた空間を、栽培方法と作業動線に合わせて活用した事例です。
▶ 長野県・てしお農園様|20ftきくらげ栽培用コンテナ導入事例を見る
規模に合わせた活用例|40ftリーファーコンテナ2基の施工事例
ピースノートでは、実際に40ftリーファーコンテナを活用した、きくらげの菌床栽培施設を納品しています。
この事例では、40ftリーファーコンテナ2基を使用。
既存の冷凍・冷蔵設備を取り外し、きくらげ栽培の用途に合わせてエアコンなどの設備を設置しました。
また、コンテナ内部には菌床栽培設備を配置し、コンテナの内部空間を栽培施設として活用しています。
「コンテナの中できくらげを栽培する」といっても、単にコンテナを置くだけではなく、栽培方法に合わせてコンテナそのものを農業設備へ変えていくことがポイントです。
▶ 40ftリーファーコンテナを活用した、きくらげ菌床栽培の施工事例を見る
小規模から始める栽培施設としても
コンテナは、一つの独立した栽培空間として設置できることも特徴です。
大規模な栽培施設を最初から建設する方法だけでなく、20ftや40ftなど、必要な規模から栽培設備を検討する方法もあります。
例えば、
- 新しくきくらげ栽培を始めたい
- 現在の農場に栽培スペースを追加したい
- 既存施設とは別に環境管理できる空間を設けたい
- 遊休地などを活用できないか検討したい
といった場合にも、選択肢の一つとなります。
ただし、設置場所によって必要となる工事や法令上の確認、電源、搬入経路などが異なります。
そのため、コンテナ本体だけでなく、「どこに、どのように設置して運用するか」まで含めて検討することが大切です。
コンテナなら年間を通してきくらげを栽培できる?
コンテナを使用したからといって、必ず年間を通して安定した栽培ができるわけではありません。
栽培結果は、栽培方法や菌床、温度・湿度管理、換気、設備能力、外気条件、日々の管理など、さまざまな要素に左右されます。
コンテナの役割は、栽培そのものを保証することではなく、外部環境の影響を抑えながら、必要な栽培環境をつくるための「器」を用意することです。
だからこそ、
「40ftコンテナを使いたい」
「このエアコンを付けたい」
と設備から考えるのではなく、
「どのような条件できくらげを栽培したいのか」
から、必要なコンテナや設備を検討することが重要です。
よくあるご質問|きくらげ栽培用コンテナ
Q1.中古リーファーコンテナでも、きくらげ栽培に利用できますか?
コンテナの状態や用途によっては、中古リーファーコンテナを活用することも可能です。
コンテナの状態を確認したうえで、必要となる空調・換気・照明・電源・棚・散水設備などを検討します。
Q2.どのような設備を付けられますか?
用途に応じて、空調、換気、照明、電源、栽培棚、自動散水設備などを組み込むことができます。
必要となる設備は栽培方法や設置環境によって異なるため、栽培条件を確認しながら仕様を検討します。
Q3.20ftと40ft、どちらを選べばいいですか?
必要な栽培量や菌床数、棚の配置、作業スペース、設置場所などによって適したサイズは異なります。
コンテナの大きさだけではなく、内部でどのように作業するかまで含めて検討することが重要です。
Q4.コンテナを設置すれば、年間を通して栽培できますか?
コンテナそのものが年間栽培や収穫量を保証するものではありません。
季節や地域の外気条件、栽培方法、必要な温湿度、空調・換気設備の能力などを確認したうえで、必要な栽培環境を検討します。
Q5.まだ栽培方法や仕様が決まっていなくても相談できますか?
はい。
「きくらげ栽培にコンテナを使えるか知りたい」
「どのくらいの大きさが必要なのか分からない」
「中古リーファーコンテナを活用したい」
といった検討段階からご相談いただけます。
栽培方法、設置予定場所、必要な設備などを確認しながら仕様を検討します。
きくらげ栽培用コンテナをご検討の方へ
きくらげ栽培用コンテナは、完成した規格品を置くだけの設備ではありません。
栽培方法や必要な環境、菌床の配置、設置場所などに合わせて、必要な仕様を考えることが重要です。
株式会社ピースノートでは、リーファーコンテナや断熱コンテナをベースに、空調・換気・照明・電源・棚・散水設備などを組み合わせ、栽培方法や設置環境に応じた農業用コンテナをご提案しています。
まだ具体的な仕様が決まっていない段階でもご相談いただけます。
きくらげ栽培用コンテナについて相談する
「自分たちの栽培方法でもコンテナを使える?」
「どのくらいの設備が必要?」
といった検討段階から、お気軽にお問合せください。設置予定地や希望する栽培規模が分かると、必要な大きさや設備をより具体的に検討できます。